地元の旬の食材

地産地消の宅配 海老名畜産さん

非遺伝子組み換え飼料と自然豚舎による養豚・加工を一貫で行っている

神奈川県愛川町の松下憲司さん・松下龍さん

「龍さんが来てから、農場の成績はぐんと上がったよね。」父は目を細める。成績とは養豚場の分娩率などのこと。息子の龍(りょう)さんは4年目にして海老名畜産の責任者として、社長である憲司さんのイメージを数字化して管理し、農場スタッフとの橋渡しをするという右腕の役割を果たしつつある。父と子は「龍さん」「社長」と呼び合う。その微妙な距離感が、親子であり、仕事のパートナーとして信頼しあう関係を象徴しているようにも思える。

「両親が一緒に会社をやっていると、家に帰ってきても議論していたりするんですよ。こどもには喧嘩にしか見えないから、いやだった時期もありました。」 学業については厳しく、進路をめぐっては殴り合いの喧嘩もしたことがあるという。憲司さんは、傾きかけた家業を立て直すところから苦労して現在の会社を作ってきただけに、息子に対しては思うところがあったのかもしれない。「あまり深く考えずに大学に行き、興味のあった自動車関連システムの仕事を数年やっていました。それはそれでおもしろかったですけれど。」

そろそろ戻ってはどうだ、と父に言われて龍さんが考えたのは好きな自動車の仕事を続けるか、ひとつの会社の経営にチャレンジしてみるか、ということ。自動車との違いは、やはり生き物は予定通りにはいかず、季節やさまざまな要素で変化がおきる。今はそこにやりがいを感じるという。TPPの問題もあり、日本の畜産業が揺れ動く中、飼料米を取り入れて自給率を高めるなど、中津ミートでは安定供給を企業責任として考えている。

父の夢は、「地域の農業の活性化、6次産業化すること、理想の養豚場を作ること。」

息子の夢は、「消費者とふれあえる環境を作ること(最近は病気予防のため部外者は豚舎へ立ち入れない)。消費者が豚を見たり触ったり理解してもらえる場を作りたい。」 大きな壁だった父の背中に息子は追いつき、これからは二人三脚で歩いていく。

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