地元の旬の食材

地産地消の宅配 西山製パン工房サンレモさん

西山製パン工房サンレモ(相模原市南区相武台)

現在、手をつなぐ会で人気のパンを作っていただいている西山製パン工房サンレモは、知的障害のある方々の社会参加できる場所を作ろうと、代表の西山浩さんが立ち上げたパン工房です。知的障害のある方たちが社会参加する方法としては、授産施設や作業所を利用するという方法がありますが、そこでは実社会にはそぐわない仕事が行われることも多く、得られる収入もわずかです。また、障害者として認定されない、境界線上にある方は受け入れ先もないのが現実です。そんな中で、西山さんは税金で面倒を見てもらうのではなく、就労が可能な人が安心して働ける場所を維持しようと努力を続けてきました。社会情勢が厳しくなる中、障害のある、立場の弱い人の行く先はますますなくなってきているのが現実です。しかし、もう20年通ってきている方もおり、きちんとしたものづくりができるよう仕事の仕方を工夫しながら、皆で明るくパン工房を運営しています。

一方で、サンレモで作るパンは自家製の天然酵母と国産小麦にこだわり続けています。「西山式玄米麹酵母」という無農薬の玄米と玄米麹を発酵させた西山さんオリジナルの酵母を使用しています。日本の気候風土が生み出す各種の発酵文化の中心は「米」。この玄米麹酵母の発酵には時間がかかりますが、ゆるやかな発酵がグルテンの弱い国産小麦の特徴を引き出し、旨みのあるおいしいパンを作り出しています。その他の材料もできるかぎり県内の農家や、国内で同じようにがんばっている障害者支援グループの生産したもの、ドライフルーツなども極力有機栽培のものを選んで使用しています。

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「障害者の人たちと一緒に仕事をすること」「パン屋として自立できていること」を両立させるのは並大抵のことではありません。手間がかかって大変なことを抱え込んでいるようにも思えますが、実はその根底に流れるものは同じです。サンレモの合言葉は「守ろう地球と子どもたち」。自然界を見渡せば、大きく強いものだけではなく、小さく一見弱いものも共生しています。有機栽培で野菜を作るということも、大量生産大量消費を考えたらできないことです。まっとうな食べものを子どもたちに食べてもらうのは、体の安全だけでなく本当に次世代に伝えていかなければいけないことにこだわるという意味では同じなのです。今は外で働いている娘さんにいずれ工房をバトンタッチするためにも、西山さんは働きやすい場作りに力を注いでいます。

サンレモのパンは大量生産されたパンとは一味もふた味も違います。ゆっくりとした手で大事に作られたということも想像しながら、味わっていただければと思います。

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